2024
09.06

医療DX推進体制整備加算、マイナ保険証利用率は「自院に最も有利な数値」を複数月から選択適用可能な点など再確認—厚労省 | GemMed | データが拓く新時代医療

PODCASTネタ

医療DX推進体制整備加算がこの10月(2024年10月)から改組(3区分に改組)されるが、マイナ保険証利用率の基準値を満たしていれば10月以降に「改めての届け出」は不要である—。 マイナ保険証利用率は歴月の変動があることから、「5か月前-2 …

情報源: 医療DX推進体制整備加算、マイナ保険証利用率は「自院に最も有利な数値」を複数月から選択適用可能な点など再確認—厚労省 | GemMed | データが拓く新時代医療

医療DX推進体制整備加算がこの10月(2024年10月)から改組(3区分に改組)されるが、マイナ保険証利用率の基準値を満たしていれば10月以降に「改めての届け出」は不要である—。

マイナ保険証利用率は歴月の変動があることから、「5か月前-2か月前(来年(2025年)2月以降は3か月前)」までのいずれかの中で「最も高い数値」(自院に最も有利な数値)を用いることが可能である—。

厚生労働省は9月3日に事務連絡「医療情報取得加算及び医療DX推進体制整備加算の取扱いに関する疑義解釈資料の送付について(その1)」を示し、こうした考えを明確にしました(厚労省サイトはこちら)。

医療DX推進体制整備加算、マイナ保険証利用率に応じた3区分の加算に改組

診療情報(レセプト情報や電子カルテ情報、処方箋情報など)を集積し、患者自身はもちろん、全国の医療機関で共有・閲覧可能とすることで、医療の質と効率性を高めることが目指されています【医療DX】(関連記事はこちら(医療DXの推進に関する工程表)こちら(近未来健康活躍社会戦略))。

2024年度の診療報酬改定でも医療DXの推進を下支えする新加算創設などの対応が図られ(関連記事はこちらこちら)、その1つに【医療DX推進体制整備加算】があげられます。「オンライン資格確認等システムで得られる診療情報・薬剤情報」(レセプト情報)の取得・活用、「電子処方箋」「電子カルテ情報共有サービス」への参加、医療DXの入り口となる「マイナンバーカードによる医療機関受診」の実績などにより、質の高い効率的な医療提供を目指すもので、この10月(2024年10月)から次のように「マイナ保険証利用まい状況にな応じた3区分の加算」に改組することとなりました(関連記事はこちら)。

●【医療DX推進体制整備加算1】(従前よりも+3点の11点(医科)・9点(歯科)・7点(調剤)とする)
▽マイナ保険証利用率の基準値
・本年(2024年)10-12月:15%以上
・来年(2025年)1月以降:30%以上(4月以降の基準値は別に検討)
▽「マイナポータルの医療情報等に基づき、患者からの健康管理に係る相談に応じる」ことを新たな施設基準として求める

●【医療DX推進体制整備加算2】(従前よりも+2点の10点(医科)・8点(歯科)・6点(調剤)とする)
▽マイナ保険証利用率の基準値
・本年(2024年)10-12月:10%以上
・来年(2025年)1月以降:20%以上(4月以降の基準値は別に検討)
▽「マイナポータルの医療情報等に基づき、患者からの健康管理に係る相談に応じる」ことを新たな施設基準として求める

●【医療DX推進体制整備加算3】(従前と同じ8点(医科)・6点(歯科)・4点(調剤)とする)
▽マイナ保険証利用率の基準値
・本年(2024年)10-12月:5%以上
・来年(2025年)1月以降:10%以上(4月以降の基準値は別に検討)

医療DX推進体制整備加算の見直し内容(赤囲み部分)(中医協総会(1)1 240717)

医療DX推進体制整備加算、マイナ保険証利用率満たせば「改めて届け出」は不要

今般の疑義解釈(その1)では、この改組された【医療DX推進体制整備加算】に関する医療現場の疑問に答えています。

まず、「すでに【医療DX推進体制整備加算】の施設基準を届け出ている保険医療機関」、上記の改組に伴って「改めての施設基準届け出」は必要となるのでしょうか?

この点、「届け出のし直しは不要である」点を改めて明確にしています(関連記事はこちらこちら)。

ただし、当然のとこですが「すでに施設基準を届け出た保険医療機関においても、マイナ保険証利用率要件が基準に満たない場合には、10月1日以降【医療DX推進体制整備加算】を算定できない」ことに留意が必要です(施設基準届け出は不要であるが、当然、基準値はクリアしていなければならない)。

マイナ保険証利用率は支払基金から通知、ポータルサイトで確認も可能

また、自院の「マイナ保険証の利用率」把握については、▼「社会保険診療報酬支払基金(支払基金)から、毎月中旬頃に電子メールにより通知される」予定▼「医療機関等向け総合ポータルサイトにログインして確認する」ことも可能—である旨が示されました。

なお、「支払基金からは『翌月の適用分』を通知する」ため、「支払基金から通知されたマイナ保険証利用率を確認次第、月の途中から当該利用率に応じた当該加算の算定を行う」ことは認められず、「翌月1日から可能となる」ことも明示されています。

(参考)●マイナ保険証利用率の基準値
【医療DX推進体制整備加算1】
・本年(2024年)10-12月:15%以上
・来年(2025年)1月以降:30%以上(4月以降の基準値は別に検討)

●【医療DX推進体制整備加算2】
・本年(2024年)10-12月:10%以上
・来年(2025年)1月以降:20%以上(4月以降の基準値は別に検討)

●【医療DX推進体制整備加算3】
・本年(2024年)10-12月:5%以上
・来年(2025年)1月以降:10%以上(4月以降の基準値は別に検討)

マイナ保険証利用率は複数月から「自院に有利なもの」を選択可能

ところで、マイナ保険証利用率は「患者がマイナンバーカードで受診するかどうか」によるため、このため「医療機関の責めによらない理由により、マイナ保険証利用率が低下する」こともありえます。

この点については、▼3か月までのレセプト件数ベースマイナ保険証利用率(原則)▼2か月前のオンライン資格確認件数ベースマイナ保険証利用率(本年(2024年)10月から来年(2025年)1月まで)—ともに「その時点で算出されている過去3か月間で最も高い率を用いて算定が可能である」という配慮措置・救済措置が設けられていることを確認しています(関連記事はこちらこちら)。

関連して、配慮措置・救済措置の具体例を次のように示しています。
(例)本年(2024年)10月に加算を算定する場合のマイナ保険証利用率は、以下のいずれかのうち「最も高いもの」を各医療機関で選択して用いることができる
・2024年7月のレセプト件数ベースマイナ保険証利用率(原則)
・2024年5月のレセプト件数ベースマイナ保険証利用率
・2024年6月のレセプト件数ベースマイナ保険証利用率
・2024年8月のオンライン資格確認件数ベースの利用率(経過措置)
・2024年6月のオンライン資格確認件数ベースの利用率
・2024年7月のオンライン資格確認件数ベースの利用率

(参考)●マイナ保険証利用率の計算方法等
(1)【原則】「適用月の3か月前のレセプト件数ベースマイナ保険証利用率」を用いる(マイナ保険証の利用者数の合計÷レセプト枚数)

(2)【経過措置】本年(2024年)10月から来年(2025年)1月までの間は、上記に代えて「適用月の2か月前のオンライン資格確認件数ベースマイナ保険証利用率」を用いることも認める(「同月におけるマイナ保険証による資格確認件数」÷「同月のオンライン資格確認等システムの利用件数」)

(3)上記(適用月の3か月前のレセプト件数ベースマイナ保険証利用率、2か月前のオンライン資格確認件数ベースマイナ保険証利用率)に代えて、「その前月、および前々月のマイナ保険証利用率」を用いることも可能とする

なお、本年(2024年)12月2日で紙保険証の新規発行がストップするためマイナ保険証利用率が大きく上昇すると考えられること、電子カルテ情報共有サービス等の状況を見極める必要があると考えられること(電子カルテ情報共有サービスへの参加が来年(2025年)10月から、電子処方箋発行体制が同年4月から施設基準として適用される)を踏まえて、7月17日の中医協総会では次の2つの附帯意見も決定されています。今後、中医協で議論が進められます。

▽医療DX推進体制整備加算に係る「2025年4月以降のマイナ保険証利用率の実績要件」設定に当たっては、本年(2024年)12月2日から現行健康保険証発行が終了することを踏まえ、本年(2024年)末を目途にマイナ保険証の利用状況、医療機関・薬局における利用促進に向けた取組状況など、実態を十分に勘案した上で検討、設定する

▽医療DX推進体制整備加算について、電子処方箋・電子カルテ情報共有サービスの整備状況や運用の実態等を十分に確認した上で、評価のあり方および必要な対応について検討する

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