10.14
PRPや脂肪由来間質細胞も、厚労省が再生医療の汚染防止ルール、改正安確法に伴い新指針を通知、「特定細胞加工物」の衛生管理や手順など厳格化 | ヒフコNEWS
厚生労働省は10月6日、再生医療で使われる細胞製品(特定細胞加工物)の安全性を高めるため、新たな指針「特定細胞加工物の微生物学的安全性に関する指針」を全国の自治体に通知した。
情報源: PRPや脂肪由来間質細胞も、厚労省が再生医療の汚染防止ルール、改正安確法に伴い新指針を通知、「特定細胞加工物」の衛生管理や手順など厳格化 | ヒフコNEWS
厚生労働省。(写真/Adobe Stock)
厚生労働省は10月6日、再生医療で使われる細胞製品(特定細胞加工物)の安全性を高めるため、新たな指針「特定細胞加工物の微生物学的安全性に関する指針」を全国の自治体に通知した。
細胞培養、加工などの管理ルール示す
細胞を培養して治療に使う。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
- 改正の背景 → 2025年5月施行の改正安確法に対応し、細胞を扱う現場での衛生管理・汚染防止を徹底する目的で新指針が策定。
 - 指針の主な内容 → 細胞製造施設に対し、①微生物汚染防止の作業環境維持、②細胞の混同・交差汚染を防ぐ手順の明確化、③スタッフへの衛生手順の徹底を求めている。
 - 目的 → 細胞製品の品質と安全性を高め、感染症や事故のリスクを最小限に抑える。
 
これは、再生医療に関する法律(再生医療等の安全性の確保等に関する法律、安確法)が2025年5月に改正、施行されたことを受け、細胞を扱う現場での衛生管理や汚染防止をより徹底する目的で作られたもの。
再生医療では、患者自身の細胞を採取して培養、加工し、再び体内に戻すことで機能を回復させる治療が行われている。その一方で、細胞の加工や保存の過程で細菌やカビなどに汚染されるリスクがあり、安全管理が重要となる。
今回の指針では、細胞を製造する施設に対して、細胞や使用する器具・資材が微生物に汚染されないような作業環境を維持すること、複数の提供者の細胞を扱う場合に、混同や交差汚染を防ぐ手順を定めること、培養などの作業を行うスタッフに対し、厳格な衛生手順を徹底させること、などを求めている。
厚労省は、こうしたルールを守ることで、再生医療に使われる細胞製品の品質と安全性をさらに高め、感染症や事故のリスクを最小限に抑える方針を示している。
今回の通知は、都道府県や保健所設置市などに加え、日本医師会、日本歯科医師会、再生医療関連の委員会や製造業者にも共有される。
再生医療の感染症トラブルが発生している
- 美容医療での再生医療応用 → PRP(多血小板血漿)や脂肪由来間質細胞移植など、細胞を利用した自由診療が拡大。培養・加工を伴う治療は今回の新指針の対象に含まれる。
 - 感染リスクの指摘 → 製造工程の複雑さから汚染の危険があり、米国では2017~18年に幹細胞治療で感染多発。国内でも2024年に敗血症例が発生。
 - 今後の展望 → 新指針の導入により、安全管理の強化が期待される一方、再生医療の潜在的リスクについての理解が求められる。
 
再生医療の発達はめまぐるしいが、自由診療での再生医療の応用が急速に広がっている。
美容医療分野では、PRP(多血小板血漿)、脂肪由来間質細胞移植といった細胞を使った利用が行われる。こうした細胞を培養、加工して用いる再生医療は、今回の指針の対象になると考えられる。
こうした治療では製造工程が複雑で、汚染が重い感染症につながる恐れがある。ヒフコNEWSで連載しているが、米国で2017~18年にかけて幹細胞治療で感染が多発した事例が報告されている。ほかにも再生医療と感染症の関連を報告する研究はある。
また、日本国内でも、2024年に、がんの治療のためだったが、再生医療を受けた人が敗血症を起こして緊急入院となったことが明らかになっている。
今回の指針をきっかけに再生医療がより安全に行われることが期待されるとともに、再生医療はリスクと隣り合わせであることは理解しておく必要があるだろう。
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