2024
09.04

マイナ保険証、利用率が著しく低い場合は「医療機関に個別に事情確認」厚労省「療養担当規則違反のおそれがある」と強調

PODCASTネタ

マイナ保険証、利用率が著しく低い場合は「医療機関に個別に事情確認」厚労省「療養担当規則違反のおそれがある」と強調

情報源: 医療維新 | m3.com

厚生労働省は8月30日の社会保障審議会医療保険部会(部会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)で、マイナ保険証の利用実績が著しく低い医療機関・薬局に対して地方厚生局が個別に事情を確認する方針を示した。利用実績が著しく低い医療機関は「患者がマイナ保険証を使う機会を奪っている」として、「療養担当規則違反となるおそれがある」と説明、委員からは「やや威圧的に見える」などの指摘が相次いだ。

7月のオンライン資格確認でのマイナ保険証の利用率は、前月比1.23ポイント増の11.13%で過去最高だった(資料は、厚労省のホームページ)。

7月はオンライン資格確認の利用件数が2億498万件、マイナ保険証の利用件数が2281万件で、利用率は過去最高の11.13%となった。ただ2024年5月から6月にかけて2.17ポイント増だったのに対し、6月から7月は1.23ポイント増と増加ペースは落ちており、利用率の大幅な上昇が見られない状況だ。日本経済団体連合会社会保障委員会医療・介護改革部会長の横本美津子氏は「保険証の新規発行停止が目前に迫っている状況を踏まえると、利用率は十分でなく、いまだに低い。発行停止以降に混乱をきたさないよう、取り組みと意識醸成を」と述べた。

厚労省は「マイナ保険証の利用実績が低い医療機関・薬局に対する個別アプローチ」として、著しく低い医療機関に対して「利用促進に当たり困っている場合の支援」や「地方厚生局が個別に事情を確認する」などの働きかけを実施することや、「働きかけの対象となることについて、メール等で個別に事前に周知」する考えを示した。

また、マイナ保険証の利用実績が著しく低い医療機関は、「患者がマイナ保険証を使う機会を奪っているものも考えられ、その場合には、療養担当規則違反となるおそれがある」と強調した。これに対し、日本医師会常任理事の城守国斗氏は「医療機関から見るとやや威圧的な表現に見え、かえって反発を招くのではないか。地域によって事情が異なることもあると思うので、そういった背景も勘案を」、日本歯科医師会常務理事の大杉和司氏は「違反している医療機関や薬局が多く存在するという誤解が生じる。利用を進めていくという趣旨が正しく伝わらない」と指摘した。

都道府県別の利用率トップは富山県、最下位は沖縄県

7月の利用率が最も高い都道府県は富山県で18.0%。続いて福井県が16.88%、石川県が16.63%、島根県が15.98%、新潟県が15.66%で、特に富山県は前月比の伸び率も1.80%と最も高かった。

利用率が低かったのは下から沖縄県が4.75%、和歌山県が7.72%、愛媛県が8.81%、愛知県が9.07%、徳島県が9.24%となった。

集中取組月間、92.1%の施設が取組実施

厚労省は2024年5~7月を「マイナ保険証利用促進集中取組月間」としてマイナ保険証の利用者数の増加に応じ、診療所に最大20万円、病院に最大40万円を支給する取り組みを実施してきた(一時金の支給対象期間は8月まで)。

オンライン請求を実施している全約17万施設に対して利用促進の取り組み状況についてアンケートを実施、その結果を公表した。7月時点の取り組み状況は、「窓口での声掛け」が77.4%、「ポスターの掲示」が64.3%、「チラシの配布」が43.8%。これら3つの全てに取り組んだ施設は39.1%だった。いずれかの取り組みを1つでも実施した施設は92.1%に上った。

 

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。