07.22
人類の水利用、6800以上のダムが「地球の傾き」を短期間で変化させる可能性(Forbes JAPAN) – Yahoo!ニュース
人類は過去200年間で、農業用水、飲料水の貯蔵、水力発電などのために6800以上のダムを建設している。このダムが全体として膨大な量の水を保持していることが原因で、地球の傾きが変化している。地球の
情報源: 人類の水利用、6800以上のダムが「地球の傾き」を短期間で変化させる可能性(Forbes JAPAN) – Yahoo!ニュース
人類は過去200年間で、農業用水、飲料水の貯蔵、水力発電などのために6800以上のダムを建設している。このダムが全体として膨大な量の水を保持していることが原因で、地球の傾きが変化している。 地球の地理的な極点(地球の自転軸が地表面と交差する2点)が地面に対して移動する現象は極運動と呼ばれ、地球の質量分布の変化に応じて起こる。規模ははるかに小さいが、同じ物理的原理をハンマー投げの競技会で見ることができる。鋼製ワイヤーで取っ手に繋いだ金属球「ハンマー」の質量をぐるぐる回すと、選手は回転の中心の周りをふらつかざるを得なくなるのだ。 地質学的な時間スケールでは、太陽や月の引力、氷床の増大や縮小、大陸の低速移動などが原因で質量が動かされることで、地球の極が移動する。だが、人間の活動はそれよりもはるかに短い時間スケールで、有意な変化を引き起こす可能性がある。 今回の最新の研究をまとめた論文の筆頭執筆者で、米ハーバード大学地球惑星科学科の大学院生のナターシャ・バレンチチは「ダムに水を蓄えると、海から水が除去されることで全球的な海水面低下につながるだけでなく、これまでと異なる方法で質量を世界各地に分布させることにもなる」と説明する。 バレンチチと研究チームは、ダムの世界的データベースを用いて各ダムの位置と貯水量を示した地図を作成し、ダムの建設史と地球の極運動の記録を比較した。 1835年~1954年の期間は、北米と欧州で多くのダムが建造されたため、これらの地域を赤道方向に移動させる(より低緯度にする)変化が生じた。すなわち、北極が東経103度線の方向に20.5cm移動したのだ。東経103度線はロシア、モンゴル、中国、インドシナ半島を通る経線で、西経77度線と大円を形成する。 その後の1954年~2011年の期間では、東アフリカとアジアでダムが建造されたため、北極は西経117度線の方向に57cm移動した。西経117度線は北米と南太平洋を通る経線で、東経63度線と大円を形成する。
人的活動がおぼす地球全体への影響
1835年~2011年までの全期間にわたり、自転極が移動した経路の長さの合計は約113cmにおよび、うち約104cmの移動は20世紀に起きている。 すでに2023年には、地下水の使用に着目した同様の研究(Seo et al.)が米国地球物理学連合(AGU)の学術誌Geophysical Research Lettersで発表されていた。地下から汲み上げた水を別の場所に移動させることで、人間の活動によって膨大な水の質量が移動したことになるため、1993年~2010年の期間だけで地球は80cm近く東に傾いたと、AGUの解説記事に記されている。 気候変動に起因する氷床や氷冠の融解により、質量が極域から赤道域に移動することで、この影響がさらに増幅することが予想されると示唆する研究が、2016年に学術誌Science Advancesで発表されていた。 地球の極は通常、惑星の自然の揺動によって年間数mほど位置が変動するため、今回観測された変化が破滅的な結果を招く危険性があるわけではない。しかしながら、このような研究により、人間の活動が地球全体にどれほど深く影響を与えているかが浮き彫りになっている。 今回の論文「True Polar Wander Driven by Artificial Water Impoundment: 1835–2011」は、学術誌Geophysical Research Lettersに掲載された。 追加資料とインタビューはAGUによって提供された。
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