07.22
手術後に幻覚、せん妄を知っていますか…女性患者に「胸なめられた」と訴えられ医師逮捕(読売新聞オンライン) – Yahoo!ニュース
手術後の女性患者が被害に遭ったと訴えた病室=柳原病院提供
手術を受けた人が麻酔から目覚める際に幻覚をみる「せん妄」について、その実態を周知したり、予防したりしようという動きが広がり始めている。きっかけの一つが、術後の女性患者へのわいせつ行為を疑われた外科
情報源: 手術後に幻覚、せん妄を知っていますか…女性患者に「胸なめられた」と訴えられ医師逮捕(読売新聞オンライン) – Yahoo!ニュース
わいせつ」医師逮捕で注目

手術後の女性患者が被害に遭ったと訴えた病室=柳原病院提供
手術を受けた人が麻酔から目覚める際に幻覚をみる「せん妄」について、その実態を周知したり、予防したりしようという動きが広がり始めている。きっかけの一つが、術後の女性患者へのわいせつ行為を疑われた外科医の逮捕だ。長い裁判を経て無罪が確定したが、専門家は「せん妄は誰にでも起きうる症状。社会全体で理解を深める必要がある」と訴える。(中村俊平)

外科医の逮捕と刑事裁判の経緯
「まったく身に覚えのないことで逮捕され、しばらく仕事にも就けず、収入は途絶えた。精神的に追い詰められ、今もショックは消えない」。乳腺外科医の男性(49)は取材にこう語った。
準強制わいせつ容疑で逮捕

(写真:読売新聞)
男性は2016年5月、東京都足立区の「柳原病院」で女性患者に対する腫瘍の摘出手術を担当。手術は成功したものの、全身麻酔から覚めた患者が「術後に胸をなめられた」と訴えた。男性は一貫して否定し、病院側から警視庁にせん妄の影響を説明したものの、同8月に準強制わいせつ容疑で逮捕され、起訴された。
裁判では麻酔科医や精神科医が証人出廷し、麻酔薬が多かったことなどから「せん妄に陥りやすい状態にあった」と証言した。東京地裁は19年、「幻覚の可能性がある」と無罪としたが、東京高裁は20年、「被害を訴える女性の証言は迫真性が高い」と逆転有罪に。最高裁が22年に審理を差し戻した後、同高裁が今年3月に無罪判決を出した。検察側は上告せず、逮捕から8年半を経て確定した。
男性は現在、都内の別の病院で勤務している。弁護人を務めた水沼直樹弁護士は「男性だけでなく、幻覚をみた患者にとっても不幸な事案だった」とした上で、「せん妄の本質を理解しないまま事件化した捜査機関の責任は大きい。教訓とすべきだ」と語る。
10~30%発症
せん妄は、麻酔薬や手術後の痛み、脱水などによって引き起こされる急性の意識障害だ。詳しいメカニズムは未解明の部分もあるが、脳内の神経伝達物質のバランスが崩れることが原因との説が有力となっている。
症状は様々で、幻覚以外にも、暴れたり抑うつ状態になったりすることもある。高齢者や飲酒量の多い人ほど症状が表れやすいとされ、英国の精神医学者らの調査では入院患者の10~30%が発症したとの結果も出ている。
幻覚に基づくトラブルは国内外で多く報告されており、患者が性行為を強いられたように錯覚したケースのほか、病室に閉じ込められる幻覚を見た例もある。
近年は症状を予防する取り組みが進む。厚生労働省は20年、せん妄が起きやすい脱水症状や睡眠不足に陥らないよう、患者の体調管理を行えば診療報酬を加算する措置を創設。23年5月には全国の医療機関で加算対象の医療が約48万回行われた。20年5月と比べて4倍以上に増えたという。
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