2025
05.07

指の動きが語る脳の衰え…手指機能と認知機能の関連性の研究報告|日刊ゲンダイDIGITAL

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情報源: 指の動きが語る脳の衰え…手指機能と認知機能の関連性の研究報告|日刊ゲンダイDIGITAL

アルツハイマー病は、軽度の記憶障害から始まり、時間をかけて認知機能が低下します。近年の研究では、認知機能の低下が現れる前に、運動機能の低下を認めることが報告されています。特に、手指の細かい動きや精密さの低下は、アルツハイマー病の発症を予測する兆候である可能性も指摘されていました。そのような中、手指機能と認知機能の関連性を検討した研究論文が、神経科学の国際誌に2025年3月9日付で掲載されました。

この研究では、国立長寿医療研究センターを受診した65歳以上のアルツハイマー病患者163人(平均80歳)が対象となりました。このうち、軽度アルツハイマー病患者が64人、中等度アルツハイマー病患者が99人でした。

被験者は、両手交互タッピングを行うよう指示され、タップ数や平均タッピング間隔などを、軽度アルツハイマー病患者と中等度アルツハイマー病患者で比較されました。両手交互タッピングとは、左右の手の親指と人さし指を、交互に開閉する動作を繰り返すもので、15秒の間にできるだけ速く指を動かすよう指示されています。

その結果、タップ数は軽度アルツハイマー病患者と比べて、中等度アルツハイマー病患者で統計学的にも有意に少なく、その効果量を示すr値は0.22でした。なお、r値は0.1で小さな効果、0.3で中等度の効果、0.5で大きな効果と解釈します。

平均タッピング間隔もまた、中等度アルツハイマー病患者で長く、r値は0.21でした。平均タッピング間隔が長いということは、指の動くスピードが遅いことを意味します。論文著者らは「手指機能がアルツハイマー病の診断精度を向上させるかもしれない」と考察しています。

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