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2025年度薬価中間年改定、「3大臣合意」で対象範囲を決定 長期収載品の範囲広く「0.5倍超」、2500億円の医療費抑制効果 レポート 2024年12月20日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)
情報源: 医療維新 | m3.com
厚生労働省は12月20日の中医協の薬価専門部会(部会長:安川文朗・京都女子大学データサイエンス学部教授)に「薬価改定の骨子(たたき台)」として、同日付けの内閣官房長官、財務大臣、厚生労働大臣の3大臣合意に基づき、品目ごとの性格に応じた改定対象の設定方針を提示した。委員からは異論は出ず、今後、さらに詳細を検討する。医療費ベースで2500億円の抑制が見込まれる見通しだ(資料は、厚労省のホームページ)。
平均乖離率5.2%を基準として、新薬創出・適応外薬解消等促進加算(新薬創出等加算)の対象品目と後発医薬品は1.0倍、新薬創出等加算対象品目以外の新薬は0.75倍、長期収載品は0.5倍、その他医薬品は1.0倍をそれぞれ超える医薬品を改定対象とする。過去の中間年改定では全体の69%が対象だったが、今回は9320品目のうち、53%に減少する。長期収載品(1500品目)では全体の88%が対象になる一方、新薬創出等加算品目(60品目)では9%にとどまる。
(2024年12月20日の中医協薬価専門部会資料)
これら実勢価格の引き下げに伴う薬価改定に加えて、▽創薬イノベーションの推進の観点から、追加承認品目等に対する加算を臨時的に実施、▽安定供給確保が特に求められる医薬品に対して、臨時的に不採算品再算定を実施、最低薬価の引き上げ、▽新薬創出等加算の累積額は控除――などの対応を行う。
薬価の中間年改定は、診療報酬改定のない年に実施される。2023年度は平均乖離率の「0.625倍超」が対象だった。2024年薬価調査速報値では、平均乖離率は約5.2%で、2023年の6.0%、2022年の7.0%よりも減少した(『薬価差5.2%、2024年薬価調査の速報値公表』を参照)。この点のほか、創薬イノベーションの推進や医薬品の安定供給確保の要請などにきめ細かく対応する観点から、品目ごとの性格に応じて対象範囲を設定する。
日本医師会常任理事の長島公之氏は、「イノベーションの推進、安定供給確保という2024年度薬価制度改革の方向性に沿って、医薬品の役割や実態に合わせてきめ細かく対応する方針にしていくことは妥当」と述べた上で、不採算品再算定については、「過去2回、特例的に大規模に行われたことを踏まえれば、今回はそこから漏れてしまったものの、やはり評価が必要と言えるものにターゲットを絞るべき」と指摘した。
健康保険組合連合会理事の松本真人氏も、カテゴリ別に対象範囲を設定することには異論はないと述べ、「長期収載品の対象範囲を平均乖離率の0.5倍超まで拡大することは、新薬メーカーが長期収載に依存せず、特許が切れたら速やかに次に市場を譲るという考え方に合致する」と評価。一方で、▽新薬創出等加算品目の1.0倍超は将来の医療保険制度の持続可能性に影響、▽それ以外の新薬の0.75倍超とし、これまでの0. 625倍超から範囲を狭めることで、イノベーション推進にどのような影響があるのか、今後検討が必要――と述べた。不採算品再算定については、長島氏と同様に本当に必要なものに対象品目を絞るべきと指摘した。
厚労省保険局医療課薬剤管理官の清原宏眞氏は、今回の平均乖離率が5.2%であり、「0.75」を掛けて3.9%超の乖離率の品目が対象であり、前回(2023年度中間年改定)の4.735%超(平均乖離率7.0%で、その0.625倍超)よりも対象が広がったと補足した。
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