08.23
河野太郎氏の「都合のいい情報」で医療現場は大混乱…医師が「マイナ保険証は使えない」と断言する3つの理由(プレジデントオンライン) – Yahoo!ニュース
紙の保険証を使うことは可能(※写真はイメージです) – 写真=iStock.com/78image
河野太郎デジタル担当大臣が進める「マイナ保険証」に批判が集まっているのはなぜなのか。医師の森田洋之さんは「河野太郎氏および政府はマイナ保険証のデメリットを伝えず、都合のいい情報だけを発信している」と
情報源: 河野太郎氏の「都合のいい情報」で医療現場は大混乱…医師が「マイナ保険証は使えない」と断言する3つの理由(プレジデントオンライン) – Yahoo!ニュース
■「紙の保険証」は12月以降も使用できる ちなみに、「※12月2日時点で有効な保険証は最大1年間有効です」と書かれていて、「現在使用している紙の保険証はあと1年で使えなくなる」かのように読めますが、これも事実ではありません。 マイナ保険証の利用登録をしない人には、紙の保険証の有効期限が切れたのち、保険証の代わりに下記の「資格確認書」(画像は現時点の草案)が送られてくる予定です。 内容は現行の保険証とほぼ同じですね。 要するに、今後も紙の保険証を使えるということです。 なのに、厚労省のポスターにはそういう説明が一切ありません。不安をあおる情報発信であり、非常に問題だと思います。
■河野氏および政府の情報発信は問題 河野大臣および政府がマイナンバーカードの普及を目指すのは理解できます。マイナンバーカードの普及により、手続きの簡素化や行政の効率化ができれば、社会全体に大きなメリットがあるでしょう。 ただ、情報発信の仕方は問題です。政府に都合のいい情報しか出さない、という手法は、国民の代表たる政治家が採用してはいけないものだと思います。 ■マイナ保険証の「3つのデメリット」 そもそもマイナ保険証の普及とは、国民を騙すような情報発信をしてまで達成すべき目標なのでしょうか? 私は鹿児島でクリニックを経営していますが、その経験から申しますと、マイナ保険証には3つの大きなデメリットがあり、現状はメリットを上回っているのではないかと思います。 まず、マイナ保険証だと「災害時・通信障害時に対応できない」のが問題です。 マイナ保険証とは要するにマイナンバーカードそのものです。マイナンバーカードを病院に置いてある機械にピッと通すと、番号などが病院に通知される仕組みになっています。 そのため、マイナ保険証には「保険証番号」が記載されていません。 ということは、災害時・停電時などで機械が動かない場合、医療機関には保険証番号がわからない、ということになります。その場合当然ながら病院も患者さんも困ってしまいます。
■「災害時は無料受診」のウソ この問題について、政府は「災害時は保険証がなくても特別に無料受診できるようにするから大丈夫」と答えています。 ただ、政府が医療費を負担してくれるのはおそらく大地震や洪水といった大規模災害の場合に限られるでしょう。 マイナンバーを読み取る機械はちょっとした停電でも使えなくなります。台風で数時間にわたり停電になることもありますが、その際も政府が医療費を負担してくれるのでしょうか? 残念ながらその可能性はまずないでしょう。 災害時でなくとも、「通信障害」や「機器の不具合」は発生します。その際にいちいちマイナ保険証が使えないのは大きなデメリットと言えるでしょう。 ■「非常時のためにアナログを残しておく」発想は重要 災害時にも使えるように、カードに保険証番号を記載する等の対策が必要ではないでしょうか。 「すべてをデジタル化するのではなく、非常時のためにアナログを残しておく」 という発想は重要だと思います。 マイナ保険証の2つ目のデメリットとして、「電子カルテの統一化は無理」という問題もあります。 政府は、マイナ保険証の導入などのデジタル化で、病院と薬局で薬剤情報を共有したり、病院同士で電子カルテなどの情報を共有したりして国民の健康管理に貢献する、といった主張をしています。 しかし、これはほぼ不可能です。
■「電子カルテ」はいまだに「CD-R」でやり取りしている というのも、未だに病院間の情報のやり取りは「CD-R」が主流だからです。これだけインターネットが普及しリモート化が進んでいる中でも、インターネットを介した情報共有はほとんど行われていないのが現状です。 この原稿を執筆している最中にも、私のところに他院からCD-Rが届きました。そこには、患者さんのCT画像、MRI画像などが閲覧ソフトと一緒に入っており、また採血・血圧・薬剤データなどの情報がPDFファイルで入っていました。 ■「データのフォーマットが不統一」で共有できない 病院がこうしたデータをネット経由で共有しないことには理由があります。「ネット経由で個人情報が漏洩することを防ぐ」というセキュリティー問題もありますが、もっと大きな問題として、「データのフォーマットが不統一」で共有できないのが現状だからです。 病院・診療所の電子カルテの「システム」は、さまざまな会社が独自の仕様で作っています。会社ごとにCT画像のファイル処理の仕方、採血データのファイル処理の仕方がまったく違うため、データをそのまま送ってもまったく読み込めないということが起こります。 電子カルテ自体はここ20年ほどで導入が進み、いまではほぼすべての病院に配備されていますが、フォーマットが全く統一されていないのが現状なのです。 「マイナ保険証」に切り替えてもこの問題が解決されるはずもありません。おそらく今後も当分は「病院間の電子カルテ情報の共有は無理」なままでしょう。 もちろん、電子カルテのフォーマットが統一化されている国もありますので、絶対に無理ということはありません。ただ、統一するのはかなりの大ごとで、壮大なシステム構築が必要になります。
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