2025
02.05

ソフトバンク、「脳組織」をコンピュータに活用 iPS細胞を培養 消費電力を極小化

PODCASTネタ

情報源: ITmedia NEWS

ソフトバンクは1月31日、都内で開いた展示会で、iPS細胞を培養して脳組織の一部を再現した「脳オルガノイド」を計算に利用するコンピュータ技術を紹介した。脳オルガノイドに電気的な刺激を与え、その反応を制御することでコンピューターの役割を果たす。実用化は数十年先だが、半導体などを使った従来のコンピュータよりも低電力で計算ができるメリットがあるという。

photo脳オルガノイドが壁にぶつからないように犬型ロボットを制御する=31日、東京都渋谷区
photo脳オルガノイドを使ったコンピューターのチップ=31日、東京都渋谷区

展示会では、音楽を光信号に変換し、音楽のジャンルによって異なる脳オルガノイドの反応を可視化したり、犬型ロボットから送信されたデータを脳オルガノイドが判断し、壁にぶつからないように制御したりする実演などが公開された。

ソフトバンクは、3年前からメディアアーティストの真鍋大度さんと脳オルガノイドの研究を本格的に開始しているという。東京大学生産技術研究所の池内与志穂准教授も共同研究に参画し、脳オルガノイドを培養して約0.5~1cmにまで成長させることに成功。複数の脳オルガノイドを神経細胞でつなげて、計算能力を高める研究などを行っている。

点を上下に動かして、横からくる障害物を避けるコンピュータゲームで、成功したときと失敗したときに別々の刺激を与えて学習させると、成功率が向上するなどの効果がみられた。複数の脳オルガノイドをつなげた方が学習効果が高まるという結果も出ているという。

従来のコンピュータはAIに代表されるように、大規模な計算を得意とする一方で、大量の電力消費を前提とする。人の脳は、計算に必要な消費電力がはるかに小さく、学習に必要なデータも機械学習の10万分の1のデータ数で済むとされている。未知な事柄でも予測して対処できるなど、機械のコンピューターと異なる特長を多く持つ。

培養技術など、乗り越える課題は多いが、ソフトバンクは2050年以降の実用化を視野に研究を進める。自動運転などでも使えるような高度な判断ができるようになる可能性もあるという。(高木克聡)

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