2024
12.06

石破首相「2025年度予算、社会保障の給付費全体の伸び抑制」 経済財政諮問会議、厚労相に制度改革の法案提出を指示

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情報源: 医療維新 | m3.com

レポート 2024年12月3日 (火)配信橋本佳子(m3.com編集長)
 

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 石破茂首相は12月3日の経済財政諮問会議で、2025年度予算では「骨太方針2024」に沿って、賃金や調達価格の上昇への対応、DX、予防・健康づくり、制度改革等を進め、社会保障の給付費全体の伸びを抑制する必要性を指摘した。福岡資麿厚労相に対して、新たな地域医療構想をはじめ、医療・介護提供体制の改革について、2025年の通常国会への法案提出に向け、結論を得るため検討を進めるよう指示。同日の会議では、「賃上げと投資が牽引する成長型経済」への移行の実現を目指すことを盛り込んだ2025年度の予算の基本方針も答申した。近く閣議決定する。

持続可能な社会保障について議論したこの日の会議で、加藤勝信財務相は2025年度予算編成の課題として薬価改定や高額療養費制度の見直しなどを挙げ、福岡資麿厚労相は新たな地域医療構想、総合的な医師偏在対策、高額療養費見直し、マイナ保険証の利用促進などに早急に取り組む方針を説明した。

民間議員は4人の連名の資料を提出、医療については、規制的な手法を含めた医師偏在是正対策や新たな地域医療構想などを挙げ、年内に確実な結論を得ることを求めた。

会議後に会見した赤澤亮正・経済財政担当相は、民間議員から▽社会保障給付費の対GDPを抑制し、政府の持続可能性を確保するため給付と負担の改革の継続が必要、▽2025年度予算では、歳出改革努力の継続、賃金物価上昇への対応が必要、▽全世代型社会保障の改革工程は子育て世代への支援強化の財源捻出につながるものであり、着実に実行すべき――という3つの提案があったことを紹介した(資料は、内閣府のホームページ)。

会議後に会見する赤澤亮正・経済財政担当相

「医療のあり方を全体としてデザインを」

民間議員の資料は、社会保障の持続可能性確保に向けて、給付と負担の改革を継続していく必要性を指摘、そのためには社会保障費の実質的な増加を高齢化による増加分に相当する伸びに収めていくことを求めた。各論では、(1)賃上げ・物価上昇への対応、(2)改革全体を俯瞰した政策立案と推進、(3)「改革工程表」の着実な実行――の3点を重点事項として挙げ、2023年12月に閣議決定した全世代型社会保障改革の「改革工程」、年内にまとめる予定の「経済・財政新生計画」を着実に実行すべきと提言している。

内閣府事務局によると、民間議員からは、財源や給付と負担のあり方について、▽社会保障を支える財源問題について保険料に大きく依存した現状は現役世代に大きな負担となっている、社会保険料の増加を抑え、応能負担を徹底する、税制も含めた税と社会の一体改革に速やかに取り組むべき、▽社会保障については、実質的な増加を高齢化による増加分に相当する伸びに収めることが重要――などの意見が上がったという。

各論については、▽インセンティブ、ディスインセンティブも含め、医療のあり方を全体としてデザインする必要がある、そのためには経営状況やサービスの質の見える化などに取り組むべき、▽生涯年収を上げるには国民の健康がベースになり、病気になる前に健診をするという意識付けが必要、特定健診の受診率は全く100%に満たず、受診率を上げる努力をする、▽診療報酬改定が実際に賃金の上昇につながったのか、しっかり検証することが必要、▽年金制度改革、医療介護提供体制、高額療養費制度について年内に確実に結論を得ることが必要、▽健康について予防の意識を醸成すると同時にセルフメディケーションを推進する、自己負担率の上昇や保険外診療と保険診療との併用についても検討すべき――などが代表的な意見だ。

2人の閣僚の発言骨子は以下の通り。

加藤勝信財務相:社会保障分野については労働需給の見通しも踏まえつつ、現役世代の負担抑制や能力に応じた負担への見直しなどの観点から改革に取り組み、全世代型社会保障の構築を進めていくことが必要。このため改革工程に記載の具体的な改革項目を着実に実現していき、こども未来戦略の加速化プランの財源確保につなげていくことが重要。こうした観点から来年度予算の編成過程において、例えば薬価改定や高額療養費制度の見直しなどについて関係省庁と議論を深めていく。

福岡資麿厚労相:少子高齢化が進んでいる中で誰もが年齢にかかわらず、能力や個性を最大限生かせる社会を目指していく必要がある。被用者保険の適用拡大、在職老齢年金の見直しの検討など働き方に中立的な年金制度の構築、新たな地域医療構想、総合的な医師偏在対策、高額療養費見直しの検討、質の高い医療やケアを効率的に提供するためのマイナ保険証の利用促進など医療介護DXの推進、創薬力の強化、後発医薬品の安定供給について、必要な制度改正も含め早急に取り組みを進めていく。引き続き能力に応じて皆が支え合う、全世代型社会保障の構築に向けた取り組みをしっかり進めていきたい。

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