2025
06.20

美容医療の盲点、偽造品が使われた場合、トラブルでも保険下りない、あなたが受けている美容施術は大丈夫?第25回日本抗加齢医学会総会の聴講記【編集長コラム】 | ヒフコNEWS

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美容クリニックで万が一トラブルが起きた際に、美容クリニックは施術を受けた人に賠償金を支払うケースもある。美容クリニックが、賠償保険に加入していれば、保険金を受け取ることができる。そこには盲点と言えるケ

情報源: 美容医療の盲点、偽造品が使われた場合、トラブルでも保険下りない、あなたが受けている美容施術は大丈夫?第25回日本抗加齢医学会総会の聴講記【編集長コラム】 | ヒフコNEWS

 美容クリニックで万が一トラブルが起きた際に、美容クリニックは施術を受けた人に賠償金を支払うケースもある。美容クリニックが、賠償保険に加入していれば、保険金を受け取ることができる。

そこには盲点と言えるケースがある。偽造品が使われている場合には保険金が出ないということだ。

2025年6月、第25回日本抗加齢医学会総会で、美容医療賠償責任保険を扱っているユニバーサル小額短期保険の武井英氏が講演し、そのルールについて説明していた。

承認を受けた製剤や医療機器で行われるのが条件

トラブルが相次いで報告されている。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

トラブルが相次いで報告されている。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • 美容医療のトラブル増加→手技ミスや説明義務違反、施術結果への不満など、さまざまな形のトラブルが発生しており、賠償金の支払いが必要となるケースも増えている。
  • 美容医療向け保険の活用→美容医療専門の保険制度が整備されており、トラブル発生時の賠償支援に活用されている。
  • 偽造品使用時の免責→施術に使用した製剤や医療機器が偽造品の場合、保険金は支払われない。
  • る。

美容医療に関連したトラブルが増加傾向にあり、事故が発生し、美容クリニックが被害を訴える人に賠償金を支払うケースも発生している。

美容医療では、手技のミスのほか、あらかじめ十分な説明がなかったという説明義務違反、過失がなくても、仕上がりの不満によるクレームなど、多くの形のトラブルが起こり得る。

医科や歯科で一般的な医師賠償責任保険や歯科医師賠償責任保険は、保険診療が対象となり、美容医療は対象外になる。そこで、役立てられているのが美容医療に特化した保険の仕組みだ。

クレームが起きたときには、美容クリニックと、被害を訴える人の間で話し合いが設けられて、賠償金についての協議が行われる。保険会社は、それらの結果に基づき、美容クリニックに保険金を出すことで、美容クリニックの賠償金に充ててもらうことになる。

保険支払い条件は明確だが、ここで問題となる条件の一つとして、冒頭で説明した、施術で使われた製剤や医療機器が偽造品である場合に保険金が出ないということがある。ユニバーサル小額短期保険では、各国の医薬品監督行政機関による承認を受けたもの(医薬品や高度管理医療機器クラスIV)である場合に、保険金を支払っていることが特徴となっている。海外であっても、公的な承認を受けたものが事故の原因である場合には保険金を出す。しかし、その使われた施術や医療機器が偽造品であった場合には保険金を出すことができない。

国内外で偽造品が問題に

米国食品医薬品局(FDA)が偽造品の存在を警告。特定の製品番号や製造番号が使用されている。(出典/FDA)

米国食品医薬品局(FDA)が偽造品の存在を警告。特定の製品番号や製造番号が使用されている。(出典/FDA)

  • 国内外での偽造品流通→GLP-1受容体作動薬などの偽造医薬品が世界中に広がり、WHOも警告を発している。国内外で偽造品が問題になっている。
  • 保険金が出ないことによる賠償リスク→偽造品による事故では保険金が出ず、クリニックが賠償金や和解金の支払いに困る可能性がある。
  • クリニック選びの注意点→美容クリニックを選ぶ際には、偽造品を使用していないか、リスクを見極める視点も重要である。

この偽造品が使われた場合に保険金が出ないことは盲点になると同時に、要注意の条件といえる可能性がある。

というのも、海外では、美容医療の偽造品が押収されるケースも報告されている。医薬品では、GLP-1受容体作動薬の偽造品が世界に拡大し、WHO(世界保健機関)が警告を発する事態になっている。東南アジアでも偽造の製剤が摘発されている。

日本国内でも、最近、ボツリヌス製剤の偽造品が発見され、問題になった。これはヒフコNEWSでも伝えているが、「ボトックスビスタ」の偽造品だった。

こうした偽造品の問題は、美容施術を受けた人には、気付くことが難しい可能性がある。仮にそうした偽造品を使われて事故が起きれば、美容クリニックが賠償金や和解金を支払う上で、保険金を得ることができず、金銭的な賠償が難しくなるケースも想定される。これは要注意のケースといえるだろう。

美容クリニック選びでも、偽造品の可能性を考えて、注意しておく必要があるのかもしれない。

参考文献

ボトックスビスタ偽造品が日本で初確認、米国で4月に警告、違法美容医療の摘発続く中で新たな問題、厚労省がメーカー文書発信
https://biyouhifuko.com/news/japan/8180/

タイとフィリピンで違法な美容医療の摘発相次ぐ、フィラー注射やボツリヌス療法など無資格で、8月に両国で警察が逮捕を発表
https://biyouhifuko.com/news/world/8928/

オゼンピックの偽造品問題が世界に拡大、混入した余剰成分を原因とした健康被害に懸念、WHOが改めて警告
https://biyouhifuko.com/news/world/9023/

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