2025
03.09

銀座のクリニックが保険診療不可に 行政処分の背景とは?保険医療機関の指定取消、保険医の登録取消に、関東信越厚生局が銀座みゆき通りクリニックの行政処分を公表 | ヒフコNEWS

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関東信越厚生局は2025年2月に東京都中央区の銀座みゆき通りクリニックについて保険医療機関の指定取消、および院長の梶原寛子氏の保険医登録取消を公表した。

情報源: 銀座のクリニックが保険診療不可に 行政処分の背景とは?保険医療機関の指定取消、保険医の登録取消に、関東信越厚生局が銀座みゆき通りクリニックの行政処分を公表 | ヒフコNEWS

 関東信越厚生局は2025年2月に東京都中央区の銀座みゆき通りクリニックについて保険医療機関の指定取消、および院長の梶原寛子氏の保険医登録取消を公表した。

医院のウェブサイトによると、一般内科や消化器内科のほか、泌尿器科、ダイエット外来、アレルギー科、肛門科、健康管理センターがあり、美容医療の要素を含む診療も行っている。

国による処分はなぜ行われたのだろうか。

繰り返し指導や監査が行われ処分に至る

  • 個別指導・監査の欠席→ 銀座みゆき通りクリニックは2017~2023年の6回の個別指導を欠席し、2023~2024年の監査も正当な理由なく欠席。提出された診断書も無効と判断された。
  • 行政処分→ 関東信越厚生局は、個別指導や監査の欠席を理由に、同クリニックの保険医療機関指定取消と、院長の保険医登録取消を決定。これにより、保険診療ができなくなった。
  • 指導・監査の目的→ 保険診療の適正な請求を確保するため、医療機関に対する指導や、疑わしい場合の監査が行われる。今回の処分は、その厳格な運用の一例といえる。

関東信越厚生局が、銀座みゆき通りクリニックの処分を公表した資料によると、同医院は2017年から2023年までに実施した6回の個別指導を、正当な理由なく欠席していた。個別指導を欠席する理由として「体調不良」を挙げていたものの、通常の診療を行っていたと指摘している。さらに同局は、23年から24年にかけて3回の監査を行ったが、これも欠席し、医院からは診断書が提出されたものの、この診断書がそもそも交付されていなかったことも明らかになった。

関東信越厚生局は、正当な理由なく個別指導や監査を欠席したという理由から処分に踏み切った。同局は、銀座みゆき通りクリニックの保険医療機関の指定取消を行い、さらに院長の保険医登録取消も行った。この行政処分によって、同医院および院長は保険診療を行うことができなくなる。

今回の処分のきっかけとなったのは「個別指導」や「監査」だった。

医療機関は、健康保険を使って患者を診療した場合に、患者に医療費の3割負担などを求める一方で、保険者に対して診療報酬を請求する。行政による「指導」の目的は、請求が正しく行われるよう周知徹底することで、監査は、不正が疑われる場合に事実関係を把握し、必要な措置を講じるために行われる。

ヒフコNEWSは同医院に意見を求めたが、コメントは得られなかった。

保険診療で不正が行われるケース

厚生労働省。(写真/Adobe Stock)

厚生労働省。(写真/Adobe Stock)

  • 厚労省の指導・監査統計→ 2023年度の「保険医療機関等の指導・審査等の実施状況」によると、個別指導は1464件、新規個別指導は6576件、適時調査は2748件、監査は46件実施された。
  • 取消処分の件数→ 保険医療機関等の指定取消は8件、保険医等の登録取消は13件。
  • 美容医療と保険診療→ 美容医療は主に自由診療だが、一部保険診療も行われるため、保険請求の不正リスクがあることを理解しておくことが重要。

25年1月に厚生労働省が23年度の「保険医療機関等の指導・審査等の実施状況について」に関する統計を発表した。

これによると、指導・監査等の実施件数は「個別指導」が1464件、「新規個別指導」が6576件、適時調査が2748件、監査が46件となっていた。対象には医科だけではなく、歯科や薬局も含まれる。

取消処分の状況は、保険医療機関等の指定取消が8件、保険医等の登録取消が13件だった。行政処分には至らないものの、不正などが認められたケースである保険医療機関等の指定取消相当が13件、保険医等の登録取消相当が1件だった。

保険医療機関等の指定取消処分の主な原因は、架空請求、付増請求、振替請求、二重請求などである。

こうした指定取消処分が行われるきっかけは、保険者、医療機関従事者、医療費通知に基づく被保険者等からの情報提供であり、18件と指定取消処分(指定取消相当を含む)の大半を占めていた。

不正請求などが行われた場合、返還が求められ、その額は約46億2000万円に上った。

こうした不正請求のケースでは、料金の説明と実際の請求内容が異なることがある。不正請求が疑われる場合、地域の厚生局に相談すれば、問題が是正される可能性がある。

美容医療は自由診療が中心だが、場合によっては保険診療として行われることもある。保険診療では、このような問題が起こる可能性があることを理解しておくとよい

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