2024
10.02

【レプリコンの懸念、どうなった?】新型コロナ定期接種、ワクチンは選べるのか?種類、自己負担額…すべて解説 【やさしく解説】新型コロナワクチン「定期接種」とは?(1/4) | JBpress (ジェイビープレス)

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 新型コロナウイルスのワクチン接種は2021年6月から全額を公費負担とする「特例臨時接種」として始まりました(対象は生後6カ月以上)。ただ、感染の爆発的な広がりがとりあえず落ち着きを(1/4)

情報源: 【レプリコンの懸念、どうなった?】新型コロナ定期接種、ワクチンは選べるのか?種類、自己負担額…すべて解説 【やさしく解説】新型コロナワクチン「定期接種」とは?(1/4) | JBpress (ジェイビープレス)

高齢者などを対象にした新型コロナワクチンの「定期接種」が2024年10月1日から始まりました。これまでの全額公費負担と違い、接種希望者は今後、最大で7000円程度を自己負担することになります。また、今回の接種から「次世代型mRNAワクチン(レプリコン・ワクチン)」も使用されることになりました。このワクチンに対しては使用に懸念を表明する医療関係者もいます。レプリコン・ワクチンで問題とされている点も含め、「定期接種」のすべてをやさしく解説します

フロントラインプレス

>> 【一目でわかる】定期接種で使用される5社のワクチン、副反応の症状と発現割合は?

新型コロナ、重症化リスクの高い人には依然として要注意

新型コロナウイルスのワクチン接種は2021年6月から全額を公費負担とする「特例臨時接種」として始まりました(対象は生後6カ月以上)。ただ、感染の爆発的な広がりがとりあえず落ち着きを見せたことから、2023年5月、新型コロナ感染症は感染症法上の位置付けがそれまでの「2類」から「5類」に変更。行動制限なども行われなくなり、2024年3月末にはワクチン接種もいったん終了となっていました。

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 厚生労働省によると、この間の接種回数は延べ約4億3619万回で、全人口に対する1〜3回目の接種率は、80.4%、79.5%、67.1%に達しました。1回目と2回目の接種者は10人に8人。かなり高い割合を記録しています。使われたワクチンの製薬企業はファイザーをはじめ、モデルナ、アストラゼネカなどでした。

新型コロナ感染症そのものは5類になって終焉したわけではありません。

厚労省による感染状況の把握は、5類への変更と同時に「全数把握」から全国5000の医療機関のデータに基づく「定点観測」に変更されました。現在では、1医療機関あたりの感染者数の平均値が厚生労働省によって1週間ごとに公表されています。それによると、直近2024年9月16〜22日の全国平均は4.35人。この夏のピークだった7月22〜28日の14.58人と比べると大きく減っていますが、重症化リスクの高い人には要注意の状態が続いています。

誰が対象?自己負担の金額は?

新型コロナのワクチン定期接種は10月1日〜2025年3月末にかけ、全国各地の自治体で実施されます。季節性インフルエンザのワクチンなどと同じように、費用の一部を利用者が自己負担する接種のこと。重症化リスクの高い、以下の人々を対象として実施されます(いずれも強制接種ではありません)。

【定期接種の対象となる人】
◎65歳以上
◎60歳~64歳で、心臓、腎臓または呼吸器の機能に障害があり、身の回りの生活が極度に制限されている人
◎60歳~64歳で、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫の機能に障害があり、日常生活がほとんど不可能な人

全額公費負担の接種ではないため、接種に際しては費用の一部を自己負担する必要があります。1回あたりの接種費用そのものは1万5300円程度で、このうち8300円は政府が負担。残り7000円を接種希望者と自治体が負担することになります。自治体の負担額はそれぞれに異なっているため、自己負担額にもばらつきが出ます。

例えば、東京23区の場合、千代田区や港区、葛飾区などは無料ですが、江戸川区や大田区、目黒区などは2500円です。一方、新潟市は3800円、千葉市は3300円、名古屋市は3200円、大阪市は3000円など自治体によって差が出ています。なお、いずれの自治体でも生活保護世帯の人などは無料。また、2回目の接種や60歳未満など定期接種の対象にならない人は全額自己負担でワクチンを打つことができます。

では、今回の定期接種では、どんな種類のワクチンが使用されるのでしょうか。

使用されるワクチンの種類は?選べるの?

使用されるのは5社・5種類のワクチンで、いずれもオミクロン株の亜系統「JN.1」系統に対応したものです。「知見のデータが少なすぎる」「体内で無限にタンパク質が作られる」などして、一部で強い懸念が出されている「次世代型mRNAワクチン(レプリコン・ワクチン)」も含まれています。

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 5種類のワクチンは次の通りです。

【mRNAワクチン】
・ファイザー社「コミナティ」
・モデルナ社「スパイクバックス」
・第一三共社「ダイチロナ」
・Meiji Seikaファルマ社「コスタイベ」(レプリコン=自己増殖型)

【組換えタンパクワクチン】
・武田薬品工業社「ヌバキソビッド」

新型コロナのワクチンは2021年末まで1つの医療機関で1種類のワクチンを扱うことが原則でしたが、その後は1つの医療機関で複数のワクチンを扱うことが可能になりました。

表:フロントラインプレス作成
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もっとも、今回の定期接種では、それぞれの医療機関に5種類のワクチンすべてが備わっているわけではなく、医療機関によって使用するワクチンは異なります。また、普通のインフルエンザの予防接種がそうであるように、ほとんどの医療機関では利用者がワクチンの種類・メーカーを指定することもできません。したがって、どのワクチンが使用されるのかが気になる場合は、事前に医療機関に問い合わせる必要があります。

厚労省によると、今回の定期接種に向けて供給されるワクチンは合計約3224万回分。全額公費負担だった2023年度、65歳以上の接種は合計約1927万回だったため、ワクチンの供給量は十分に確保できる見通しです。また、供給量のおよそ8割は「mRNAワクチン」となる見込みです。

「レプリコン・ワクチン」への懸念、収まらず

ところで、「自己増殖型=レプリコン」に対する懸念の声はその後、どうなったのでしょうか。

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 Meiji Seikaファルマ社のレプリコン・ワクチン「コスタイベ」は、ヒトに注射するとmRNAが体内で自己増殖を続ける仕組みです。免疫反応を呼び起こすmRNAが自己増殖を続けるため、少量の接種で長期間の効用が出ると期待されています。

ところが、安全性への疑念はこの間、医療関係者の間から消えませんでした。

一般社団法人・日本看護倫理学会(理事長=前田樹海・東京有明医療大学教授)は2024年8月に「新型コロナウイルス感染症予防接種に導入されるレプリコンワクチンへの懸念 自分と周りの人々のために」と題する緊急声明を発表し、「安全性および倫理性に関する懸念」を表明したことなどから、にわかに「レプリコンは危険」という言説がSNSなどで拡大しました。

その背景には、レプリコン・ワクチンが認可されたのは日本が世界初だったことに加え、ベトナムでの治験で十分な結果が得られていないといった事情が横たわっていました。一部の医療関係者は、レプリコン・ワクチン自体が自己複製mRNAであるため、接種者から非接種者に感染(シェディング)する懸念もあると表明。そうした声は消えておらず、現在でも一部の医師や病院関係者らがレプリコン・ワクチンを使用しないよう求めています。

また、9月中旬には、レプリコン・ワクチンの製造・販売元であるMeiji Seikaファルマの現役社員グループが「安全性を確認できていない新型コロナワクチンを強引に販売すべきでない」として、『私たちは売りたくない!』というタイトルの書籍を出版し、大きな話題となりました。この書籍は発売数日で増刷が決まったようですが、この背後にも「本当に大丈夫か」という国民の不安があるものと思われます。

これに対し、厚労省はレプリコンの危険性を真っ向から否定しています。最近もウエブサイト「新型コロナワクチンQ&A」を更新し、次のように説明しました。

Q レプリコンワクチンは、自己増幅性のあるワクチンとのことですが、体内で無限にウイルスのタンパク質が作られたり、接種を受けた方から他の方にワクチンの成分が伝播することを懸念しています。接種しても問題はありませんか。

A レプリコンワクチン接種後の細胞内におけるmRNAの増幅は一時的なものであり、無限にウイルスのタンパク質が作られることはありません。

また、現在、色々な国で、新型コロナワクチンのレプリコンワクチンを含め、様々な疾患を対象としたレプリコンワクチンの開発が進められていますが、これまでに、レプリコンワクチンを受けた方から他の方にワクチンの成分が伝播するという科学的知見はありません。

薬事承認にあたっては、動物試験や臨床試験の結果に基づいて安全性が審査され、既存のmRNAワクチンと比較し、安全性に大きな差異がないことが確認されています。

一方、製造・販売元のMeiji Seikaファルマ社はこの新薬の安全性を強調すると同時に「新型コロナウイルス感染症が感染拡大するなかで、国内でワクチンを製造できない日本は、ワクチンを海外からの輸入に頼らざるをえない状況に陥りました」とし、国家安全保障の観点からも政府や大学などと協力しながらワクチンの開発・製造を続けると表明しています。

コロナワクチンの接種をめぐっては、これまでにも多くの副反応や事故例が報告されてきました。そうしたなかで、レプリコン・ワクチンを接種するかどうか。公正な情報を集めて、適切な判断を下すことを求められているのは、定期接種の対象となる高齢者らだけではないようです。

フロントラインプレス
「誰も知らない世界を 誰もが知る世界に」を掲げる取材記者グループ(代表=高田昌幸・東京都市大学メディア情報学部教授)。2019年に合同会社を設立し、正式に発足。調査報道や手触り感のあるルポを軸に、新しいかたちでニュースを世に送り出す。取材記者や写真家、研究者ら約30人が参加。調査報道については主に「スローニュース」で、ルポや深掘り記事は主に「Yahoo!ニュース オリジナル特集」で発表。その他、東洋経済オンラインなど国内主要メディアでも記事を発表している。

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