2025
05.08

Sofwave、厚労省が承認した初の美容用超音波機器、HIFUトラブル多発の反省から厳格な運用体制へ、学会指針で研修済み医師に施術限定、6月頃発売予定 | ヒフコNEWS

PODCASTネタ

2025年4月、厚生労働省は、美容目的の超音波照射機器としては国内初となる医療機器を薬事承認した。

情報源: Sofwave、厚労省が承認した初の美容用超音波機器、HIFUトラブル多発の反省から厳格な運用体制へ、学会指針で研修済み医師に施術限定、6月頃発売予定 | ヒフコNEWS

Sofwaveの施術風景。(写真/Sofwave medicalのYoutubeチャンネル)

Sofwaveの施術風景。(写真/Sofwave medicalのYoutubeチャンネル)

2025年4月、厚生労働省は、美容目的の超音波照射機器としては国内初となる医療機器を薬事承認した。

HIFU事故の反省から指針が作られる

皮膚引締め用超音波照射器「Sofwaveシステム」適正使用指針 。(出典/日本美容外科学会=JSAPS、JSAS、日本美容皮膚科学会)

皮膚引締め用超音波照射器「Sofwaveシステム」適正使用指針 。(出典/日本美容外科学会=JSAPS、JSAS、日本美容皮膚科学会)

  • 美容機器の承認状況→ 日本では多くの美容医療機器が未承認のまま使用されており、トラブル時の責任は医師個人にある。
  • Sofwaveの登場→ 2025年4月にSofwaveが美容目的の超音波機器として国内初の薬事承認を取得。
  • 厚労省と学会の対応→ 厚労省が指針作成を依頼し、3学会が適正使用指針を策定。海外臨床試験では重大な合併症は報告されていない。

日本国内では、多くの美容医療機器が未承認のまま、医師によって個人輸入され使用されている。このような場合にトラブルが発生すると、医師個人が責任を負うことになる。国の救済制度を利用することもできない。国内でトラブルが多発し問題視されたHIFU(高強度焦点式超音波治療、ハイフ)も、承認機器が存在せず、医師が個人輸入して使用してきた。

厚生労働省の研究班が行った調査によると、HIFUをめぐっては、ヤケドに加え、神経障害や眼障害などの合併症が報告され、重大な健康被害として問題視された。その後、厚労省は、エステサロンでのHIFU施術を禁止し、医療機関での医師による施術のみを認める旨の通知を出した。

こうした中、2025年4月にSofwave(ソフウェーブ)と呼ばれる超音波照射器が国内で薬事承認された。施術対象は、中等度から重度の顔や首のシワを有する成人とされる。

Sofwaveは、HIFUと同様に超音波で皮膚に熱を与え、シワやたるみを改善する医療機器である。イスラエルのSofwave Medical(ソフウェーブ・メディカル)が開発した。従来、骨折や神経の病気の治療目的で超音波照射の医療機器が承認されていた例はあるが、HIFUなどの美容目的の機器は薬事承認されたものがなかったため、Sofwaveが美容目的の超音波照射器としては国内で初の承認例となった。

厚労省は、HIFUによるトラブル多発を教訓に、2025年2月、医学会に対してSofwaveの適正使用指針の作成を依頼した。4月には、日本美容外科学会(JSAPS、JSAS)、日本美容皮膚科学会(JSAD)の3学会が合同で適正使用指針を作成した。

この指針については、既にヒフコNEWSでも伝えていたが、SofwaveはHIFUとは異なるメカニズムで作用することが説明されている。

 皮膚引締め用超音波照射器「Sofwaveシステム」は、超音波を経皮的に照射し、真皮への加熱凝固作用により、中等度又は重度の顔面及び頸部のしわの改善を行うことを目的とする機器である。直接皮膚に接触する部位は、冷却システムにより皮膚表面を保護する機能も同時に提供できるように設計されている。なお、「Sofwaveシステム」が照射する超音波は非集束のものであり、HIFU機器(High-Intensity Focused Ultrasound,高密度焦点式超音波)とは作用機序が異なる。

簡単に説明すると、HIFUは虫眼鏡のように超音波を一点に集束させて熱を発生させるのに対し、Sofwaveは超音波を平行に照射する方式を採用している。皮膚へのダメージは比較的小さいとされている。学会の適正使用指針によれば、海外の臨床試験においては、一時的な赤みの出現を除き、重大な合併症は報告されていないとされている。

照射エリアや照射法も厳格化

皮膚引締め用超音波照射器「Sofwaveシステム」適正使用指針で示された治療エリアと治療禁忌エリア 。(出典/日本美容外科学会=JSAPS、JSAS、日本美容皮膚科学会)

皮膚引締め用超音波照射器「Sofwaveシステム」適正使用指針で示された治療エリアと治療禁忌エリア 。(出典/日本美容外科学会=JSAPS、JSAS、日本美容皮膚科学会)

  • 施術条件→ Sofwaveは、製造販売業者によるトレーニングを修了した医師のみ施術可能で、医療法に基づく施設での使用に限定される。
  • 販売開始時期→ 日本国内では、ジェイメックが2025年6月から販売を予定。
  • 指針内容→ 禁忌部位(眼周囲、首前面、耳後方など)が明確に規定され、研修を通じて安全使用が期待される。

今回の指針では、Sofwaveの施術は、製造販売業者によるトレーニングを修了した医師に限定されている。また、施術は医療法に基づく医療提供施設でのみ実施可能であることが明記された。

国内では、ジェイメックが2025年6月から販売する予定となっている。

指針では、具体的な照射方法や禁忌部位も詳細に規定されている。特に、眼の周囲、首の前面、耳の後方などが明確に指定されている。研修が施術医に対して適切に提供され、安全に機器が使用されることが期待される。

Sofwaveの薬事承認は、美容医療機器の国内における取り扱いを見直す上で、転機となる可能性がある。これまでは未承認のまま、美容目的で製剤や医療機器が使用される例が多かったが、今後は科学的根拠に基づき、承認を取得する流れが定着することも考えられる。

海外では、美容目的の製剤や機器の多くが承認を受けており、承認がなければ使用できないのが一般的だ。日本においても、こうした考え方に基づく制度への移行が進むことが予想される。それにより、日本国内の美容医療がより安全で安心なものになれば望ましい変化といえるだろう。

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