02.18
脳内には「スプーン1本分」のマイクロプラスチックが蓄積 認知症にも影響か(Forbes JAPAN) – Yahoo!ニュース
プラスチックの消費が増え続ける中、微小なプラスチック粒子であるマイクロプラスチックが地球上の至るところに集積している。米ニューメキシコ大学健康科学センターで毒物学を専門とするマシュー・カンペン教授ら
情報源: 脳内には「スプーン1本分」のマイクロプラスチックが蓄積 認知症にも影響か(Forbes JAPAN) – Yahoo!ニュース
プラスチックの消費が増え続ける中、微小なプラスチック粒子であるマイクロプラスチックが地球上の至るところに集積している。米ニューメキシコ大学健康科学センターで毒物学を専門とするマシュー・カンペン教授らは、深海や空に浮かぶ雲、そして人間の体内にもマイクロプラスチックが存在するとの研究結果を英医学誌ネイチャー・メディシンに発表した。 この研究では、体内に蓄積したマイクロプラスチックは、臓器の中でも特に脳に多く集積していることがわかった。カンペン教授らは、脳のサンプルには腎臓や肝臓の7~30倍ものマイクロプラスチックが含まれていたと明らかにした。 脳に蓄積するマイクロプラスチックの量も急速に増えているようだ。2024年に採取した人間の脳サンプルからは、わずか8年前の16年に採取したサンプルより50%多くのマイクロプラスチックが検出されたのだ。 研究者らは、正常な成人の脳の前頭皮質(眼球の後ろ側にある脳の部分)から採取した組織の中に、計12種類のポリマーを発見した。カンペン教授は米CNNの取材に対し、結果に基づくと、平均的な人間の脳には1グラム当たり4800マイクログラムのマイクロプラスチックが含まれている可能性があり、これはプラスチック製のスプーン1本分に相当すると説明した。 研究に携わった科学者らは、生物組織中のマイクロプラスチックを測定する独自の方法を考案した。この方法は、これまで人間の胎盤や精巣中の物質を検出するために使用されてきた。 研究者らは最初に各組織のサンプルを溶解し、これを遠心分離機にかけ、小さな濃縮ペレットを作成。これを600度まで加熱し、放出されるガスを調べた。さらにプラスチックを多く含むサンプルを顕微鏡で観察し、200ナノメートル未満のマイクロプラスチックの堆積を発見した。それは極めて微小な粒子で、血液脳関門を通過できるほど小さい。しかし、たとえそうだとしても、マイクロプラスチックがどのようにして脳に入り込み、なぜ脳内にこれほど大量に集積しているのかを説明することはできない。これについては、研究に携わった専門家にもわからないという。
マイクロプラスチックは人間にとって有害なのか?
だが、研究者らは、マイクロプラスチックは主に食物、特に肉類を通じて体内に取り込まれると考えており、実際、肉類には分解されたポリマーが高濃度で含まれていることを発見している。カンペン教授は、畑にプラスチックで汚染された水をやることで、土壌にプラスチックが蓄積されるとみている。そこで育てた作物を家畜に与え、その排泄物を肥料として畑に戻しているため、マイクロプラスチックの「生物濃縮(訳注:食物連鎖の過程で、体外に排出されにくい化学物質が体内に蓄積していくこと)」のような状態に陥っているのかもしれないとの見方を示した。 ■マイクロプラスチックは人間にとって有害なのか? 体内に蓄積されたマイクロプラスチックは有害なのか、そうだとすれば、どのような害を及ぼすのかはまだわかっていない。だが、研究に参加した専門家らは、マイクロプラスチックが脳の中に蓄積していることに強い危機感を抱いている。 今回の研究では、認知症の脳には正常な脳より多くのマイクロプラスチックが含まれていることも明らかになった。しかし、その脳に蓄積したマイクロプラスチックが認知症を引き起こしたのか、それとも認知症による脳の血流の変化を反映しているのかはわかっていない。 プラスチック自体は不活性物質だと考えられており、人工関節のような医療用途に幅広く利用されている。このため、研究者らは、マイクロプラスチックに含まれる化学物質ではなく、むしろマイクロプラスチックの物理的な存在に危険性があるのではないかと疑っている。 カンペン教授は、マイクロプラスチックが毛細血管の血流を阻害しているのではないかと考え始めていると言う。同教授は「これらのナノ物質が脳の軸索間の結合を阻害する可能性がある。あるいは認知症に影響するタンパク質凝集の種となる可能性もある」としながらも、現時点では解明できていないと述べた。 マイクロプラスチックが人間に害を及ぼすのか、そうであればどのように害を及ぼすのかを特定するためには、さらなる研究が求められる。現段階では、カンペン教授は今回の研究結果が、人間の脳内にかなりの量のプラスチックが蓄積しているという事実の警鐘となることを望んでいる。同教授は「『私の脳には大量のプラスチックが含まれているが、まったく気にならない』と言う人間にはまだ1人も出会っていない」からだと結んだ
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