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医科クリニックでは「標準型電子カルテ」の導入を、病院では「電子カルテ情報共有サービス」対応可能なシステム改修をまず推進—厚労省 | GemMed | データが拓く新時代医療
医療DXを推進し、効率的かつ効果的な医療サービス提供を可能とする必要がある。その一環として、医科クリニック向け
情報源: 医科クリニックでは「標準型電子カルテ」の導入を、病院では「電子カルテ情報共有サービス」対応可能なシステム改修をまず推進—厚労省 | GemMed | データが拓く新時代医療
医科クリニックでは「標準型電子カルテ」の導入を、病院では「電子カルテ情報共有サービス」対応可能なシステム改修をまず推進—厚労省
2025.7.3.(木)
医療DXを推進し、効率的かつ効果的な医療サービス提供を可能とする必要がある。その一環として、医科クリニック向けにクラウド型の標準型電子カルテ仕様を2026年度中に完成し、2026年夏までに具体的な普及計画を策定する—。
病院、とりわけ特定機能病院や地域医療支援病院については、オンプレミス型の電子カルテが導入されていることを踏まえて、まず各病院における直近のシステム更新時に「電子カルテ情報共有サービス/電子処方箋管理サービスに対応できるような改修」を、医療情報化支援基金を活用して促していく—。
あわせて、国が本年度(2025年度)中に示す予定の「電子カルテの標準仕様(基本要件)」に準拠した病院向けのクラウドネイティブな医療情報システムが登場してきた段階で、順次、「オンプレミス型からクラウドネイティブなシステムへの移行」を進めていく—。
厚生労働省が7月1日に「『医療DX令和ビジョン2030』厚生労働省推進チーム」(以下、推進チーム)を開催し、こうした方針を固めました(関連記事はこちら)。
「標準型電子カルテ」仕様を2026年度中に完成させ、2026年夏目途に普及計画を策定
診療情報(レセプト情報や電子カルテ情報、処方箋情報など)を集積し、患者自身はもちろん、全国の医療機関で共有・閲覧可能とする(医療DX)ことで、例えば「この患者にはAという薬が処方されている。今、Bという薬を処方しようと思ったが、併用に注意点があるので、別のB1という薬に変更しよう」、「この患者にXという検査を行おうと思ったが、すでに先週、別の医療機関でXを包含する検査を行っているようだ。その検査結果を活用しよう」、「私は●●の検査結果が改善していない、かかりつけの医師の指示をもとに生活習慣を改善しよう」といった具合に質の高い効果的・効率的な医療提供が可能になると期待されます。能登半島地震では、こうした過去の診療情報を活かし「患者にどのような治療が行われ、どのような薬が処方されているのか」を把握し、適切な医療提供が可能となったとの実績もあがっています。
政府は、こうした医療DXの動きを加速化するために、 2023年6月2日に「医療DXの推進に関する工程表」を取りまとめ、例えば▼全国の医療機関で電子カルテ情報を共有可能とする仕組みを構築し、2024年度から順次稼働していく▼標準型電子カルテについて、2030年には概ねすべて医療機関での導入を目指す—などの具体的なスケジュールを示しています。

医療DX工程表の全体像
厚労省もこの工程表に則り、▼電子カルテ情報共有サービスの実現▼標準型電子カルテの開発・普及▼医療・介護情報の2次利用推進—などの取り組みを進めており、武見敬三前厚生労働大臣は「近未来健康活躍社会戦略」の中で「医療・介護DX」を更に推進していく方針を明確にしています(関連記事はこちら)。
7月1日の推進チームでは、(1)電子処方箋・電子カルテの目標設定等(2)医療DXの進捗状況等確認—などを行いました。
まず(1)の電子処方箋・電子カルテの目標設定等について見てみましょう。
電子カルテについては、上述のとおり「医療DXの推進に関する工程表」の中で「標準型電子カルテについて、2030年には概ねすべて医療機関での導入を目指す」こととされています。
今般、この目標を達成するために次のような方針が新たに定められました。
▽「オンプレミス型、かつ、カスタマイズしている現行の電子カルテ」から、いわゆる「クラウドネイティブ(最初からラウドでのアプリケーション実行等を前提とした考え方)を基本とする廉価な電子カルテ」へと移行することを図りつつ、次のように考え方で進める
【電子カルテ導入済の医科医療機関】
(オンプレミス型電子カルテの医科クリニック、2023年時点で約4万7000施設)
→次回システム更改時に、標準型電子カルテに準拠したクラウド型電子カルテへの移行を促す
(クラウド型電子カルテの医科クリニック、2023年時点で約1万施設)
→標準型電子カルテに準拠したクラウド型電子カルテへの移行を図りつつ、速やかな移行が困難な場合には電子カルテ情報共有サービス/電子処方箋に対応したアップデートを推進する
(病院、2023年時点で4638施設)
→多くはオンプレミス型電子カルテを導入しており、電子カルテ情報共有サービス/電子処方箋管理サービスに対応するため、医療情報化支援基金を活用し次回システム更改時のシステム改修を促す
(一部のクラウド型システム病院については、当面、電子カルテ情報共有サービス/電子処方箋に対応するアップデートを進める)
→特に、地域医療支援病院・特定機能病院等については、医療法改正法案で「電子カルテ情報共有サービスの体制整備に関する努力義務」規定が設けられていることに鑑み、率先してシステム改修に取り組むことを促す
→病院の医療情報システムについて、「カスタマイズ等で高コスト構造になっている現行のオンプレミス型」から、「いわゆるクラウドネイティブなシステム」へと移行するべく、国が本年度(2025年度)中を目途に、標準仕様(基本要件)を策定。この「標準仕様」に準拠したクラウド・ネイティブなシステムが登場してきた段階で、順次、クラウドネイティブなシステムへの移行を進める(後述参照)
【電子カルテ未導入の医科医療機関】(2023年時点で医科クリニック4万7232施設、病院2427施設)
(クリニック対応)
→電子カルテ情報共有サービス/電子処方箋に対応できる「標準化された電子カルテ」の導入を進める
→国が本年度(2025年度)中に「標準化された電子カルテ」本格運用の具体的内容を示し、来年度(2026年度)中を目途に完成を目指す。本格運用の具体的内容を示すことを含め、必要な支援策の具体化を検討し、普及を促進する
(病院対応)
→病院の医療情報システムについて、「カスタマイズ等で高コスト構造になっている現行のオンプレミス型」から、「いわゆるクラウドネイティブなシステム」へと移行するべく、国が本年度(2025年度)中を目途に、標準仕様(基本要件)を策定。この「標準仕様」に準拠したクラウド・ネイティブなシステムが登場してきた段階で、順次、クラウドネイティブなシステムへの移行を進める(後述参照)

標準型電子カルテ等の導入スケジュール(医療DX推進チーム1 250701)
なお、歯科医療機関については「現場に求められる電子カルテ・電子処方箋の機能」について2026年度中に具体的な対応方針を決定します。
あわせて、標準型電子カルテの普及に向けた、次のような具体的な方針も示されました。
▽標準型電子カルテ(デジタル庁で開発中)について、本年度(2025年度)中に「本格運用の具体的内容」を示し、必要な支援策の具体化を検討するとともに、「2026年度中を目途」に完成を目指す
▽以下の標準型電子カルテの要件を参考に、「医科診療所向け電子カルテの標準仕様(基本要件)」を本年度(2025年度)中に策定する
→標準仕様(基本要件)に準拠した電子カルテの開発を民間事業者に促し、当該電子カルテを厚労省・社会保険診療報酬支払基金等が認証する
→認証された電子カルテと国の医療DXの各サービスとは、クラウド間で連携できるようにする
(標準型電子カルテの要件)
小規模医療機関でも過度な負担なく導入が可能となるよう、次のような要件とする
▼電子カルテ情報共有サービス・電子処方箋管理サービスへの対応
▼ガバメントクラウドへの対応が可能となり、かつ、1つのシステムを複数医療機関で共同利用することで廉価なサービス提供が可能となるマルチテナント方式(いわゆるSaaS型)のクラウド型サービス
▼関係システムへの標準API搭載
▼データ引き継ぎが可能な互換性の確保
▽電子カルテ導入状況の詳細(オンプレ/クラウドの別、システム更改時期等)を把握した上で、医療現場やシステムベンダー等の関係者の意見も聴いて、来年夏(2026年夏)までに「電子カルテ/電子カルテ情報共有サービスの具体的な普及計画」を策定する
このほか、次のような方針も固められました。
▽【電子処方箋】の新たな目標については、「電子カルテ/電子カルテ情報共有サービスと一体的な導入を進める」こととし、「患者の医療情報を共有するための電子カルテを整備するすべての医療機関への導入を目指す
▽【医薬品コード】については、現在、さまざまな場面でさまざまなコードが活用され、それぞれの関係性が整理されていないため、トラブルや現場負担等につながっている。電子処方箋トラブルの再発リスクの低減、医薬品のトレーサビリティの強化等を目的として、来年度(2026年度)から「各医薬品コードの関係性を国が明らかにする」などの対応を行う
▽【臨床検査コード】については、厚労省標準規格(JLAC10)使用が推奨されているが、実際にはコードが統一されていないため、システム間での情報連携が容易でない。JLAC10を改善した「JLAC11」を厚労省標準規格として、電子カルテ等の標準仕様で統一的な検査コードとして位置付ける
また(2)の医療DXの進捗状況を見ると、次のような状況も明らかになっています。
▽本年(2025年)6月2日時点の「救急時医療情報閲覧」導入病院は「749施設」である(総合入院体制加算1-3、急性期充実体制加算、救命救急入院料1-4取得の要件)

救急時医療情報閲覧の導入状況(医療DX推進チーム2 250701)

救急時医療情報閲覧の概要(医療DX推進チーム3 250701)
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